東京巡回始まります/ポポタムの大林さん


 
『はじまりが見える世界の神話』原画展
東京は目白のブックギャラリーポポタムにて明後日8日(金)より始まります。
8、9、10、17日は終日在廊予定。(展示は17日まで)
6/9(土)は19時より編著者の植朗子さんとのトークイベント。
ギャラリーで神話の話を聴くというのはなかなか貴重な機会かと。
お気軽にぜひ。
 
本日無事描き下ろしの油彩を発送して、
これを書いた後夜行で東京に向かい、明日朝一で搬入作業。
ギャラリーで午前中の荷物を受け取らなければならないので、
明日は燕湯での朝風呂は我慢しなければいけない。
燕湯は朝6時からやっている御徒町の古い銭湯で、
バスで東京に着いた朝はほぼ毎回お世話になっている。
お風呂上がりで時間があれば近くの喫茶店でモーニングを食べ、
さらに時間があれば上野公園を抜けて谷中霊園を歩く。
まさに朝に洗われるような、それはそれは気持ちのよい時間なのだ。
明日はしょうがないと諦めつつ、搬入後に行ける銭湯を今検索している。
訪れたことの無い西荻の銭湯に目星をつける。
最近はレコード屋と銭湯があれば何処の街へ遊びにいっても困らないことがわかった。
夕方に楽しみはとっておくことにして、とにかく朝はポポタムへ急ぐ。
 
ポポタムでの展示は関西に移る前の2015年、
当時まだ私家版だった『みち』の原画展をやらせてもらったのが最初だ。
きっかけは当時知り合ったばかりのiTohenの鰺坂さんや野分編集室の筒井さん始め、
『みち』を見て下さった色々な方に「ポポタムには行った?」と言われたことだ。
インディペンデントな本を作っているならまずはポポタムへ行け、
たぶんそんな意味だったと思うけど、どうして皆がそれ程口を揃えて言うのか
不思議に思ったのを覚えている。
 
うだるような7月のある日、『みち』の大きな原画と納品用の分厚い私家版を10冊抱え、
滝のような汗を流しながらお店に伺った。
迎えてくれた大林さんをその原画を見てすぐにこう言った。
「この原画、まだ見せてないの?もったいないなぁ。うちでやろうか!」
『みち』の原画は前の冬にSUNNY BOY BOOKSが僕の初めての原画展を開いてくれた際、
ほんの数枚だけ見せたことがあった。
ただ、もう一度どこか広い場所でやりたいと思っていた僕にとって、
これ程嬉しい言葉はなかった。
 
2ヶ月後の9月、展示と展示の隙間を利用して1週間だけ『みち』原画展は開催された。
その年の8月にはiTohenで初めての個展も経験し、何かが少しずつ動き出しているのを実感していた。
ちょうどその夏は安保法制の国会前のデモに足蹴く通っていた時期で、
既存の価値観とは別の、新しいものを模索したい気分が自分の中にあった。
このタイミングで続けて展示ができたことは、少なからず未来への希望に繋がった。
絵で食べていくことについて真剣に考え始めたのはこの頃だ。
 
ポポタムは書店スペースとギャラリースペースのちょうど間にカウンターがあって、
大林さんはいつもそこに座っている。
僕はその横のギャラリーの入り口に腰をかけ、
BGM用のCDを物色しながら大林さんとお話をするのが好きだ。
大林さんは音楽や本だけでなく、政治や教育についても全く同じレベルで話をする。
いつも小さな個人に関心を持ち、大きく不寛容な社会に疑問を呈する。
そして同じように戦う人達、しかもかっこよく、面白く戦う人達の本をお店に並べる。
そう、大林さんはロックだ。ポポタムはロックだ。
 
もうバスに乗る時間が迫って来た。
まとまらないけど、これで終わります。
大林さんと何のお話ができるか、今回も楽しみです。
もちろん、お越しいただいた皆様とのお話も。
それでは会場でお待ちしています。

6月の予定/音楽に救われる日々

6月の予定のまとめ。
 
◉明日は6/2(土)はblackbird booksにてnakabanさんとのトークイベント、
「もし絵が言葉であるとしたら」。おかげ様で満席だそう。
どうもありがとうございます。存分に楽しもう。
 
◉明後日6/3(日)は名古屋ON READINGにて『みずのこどもたち』原画展 / あたたかい水、在廊日。
12時~19時で在廊します。展示自体は6/4(月)まで。駆け込みお待ちしております。
 
◉来週6/8(金)より東京目白のブックギャラリーポポタムにて『はじまりが見える世界の神話』原画展
こちらは6/17(日)まで。短めなのでご注意下さい。8、9、10、17日の終日在廊予定です。
6/9(土)は19時より本書の編著者で神話研究者の植朗子さんとのトークイベント。絶賛予約受付中。
 
◉6/15(土)より長野は松本にて『みずのこどもたち』原画展 / こどもたちよ どこへゆく
こちらは本・中川と栞日の2店鋪にて同時開催です。はしごしてもらえたら嬉しいです。
 
◉6/23(木)は大阪iTohenにて月1の昼の学校「絵本創作教室」&夜の学校「デッサン教室」の開校日。
どちらも初心者大歓迎です。気軽に絵を描く機会になれば。ぜひ一度覗きに来て下さい。
 

各地で展示が続きますが、これも夏まで。
そのあとしばらくは落ち着いて制作に励みたいと思っています。
それぞれお近くの方、この機会にぜひ。
 
 

 
 
ここ数週間は展示に向けて描き下ろし作品をせっせと描いている。
そして中島みゆきをひたすら聴いている。
先日、和歌山で立ち寄ったレコード屋で『寒水魚』を買い、
中島みゆきの歌はレコードで聴くものだなぁとつくづく思っていたところ、
そこから妙な火がついて、古いのを中心にずっと流しながら描いている。
 
とても勇気づけられる。
もちろん、歌詞のせいも多分にあるだろうけど、
それ以上に同じ作り手として羨望を感じるようになった。
情熱をこめて作り込んだ先に、フィクションがフィクションでなくなる瞬間がやってくる。
これこそ目指すべきかたちだ。
 
「時代」は随分若い頃の曲だと最近知った。
ファーストアルバムに入っていることを知りつつ、何だか及びもしなかった。
いったいどんな頭で何を考えているのだろう。
彼女のインタビューをぜひ読んでみたい。
 
 
展示が近くなると本が読めなくなる。
時間が無いからというより、気持ちに余裕がなくなってしまう。
だから余計に音楽に救われる。
 
『みずのこどもたち』はきっかけこそDaniel Johnstonだったけれど、
描いている間はずっと宇多田ヒカルを聴いていた。「beautiful world」がお気に入りだった。
『めざめる』ではWayne Shorterの『The All Seeing Eye』の混沌さに身を預け、
『はじまりが見える世界の神話』ではOMSBのビートが絵の鼓動になった。
『みち』はもう描いてから4年も経つので、そのとき何を聴いていたかよく覚えていない。
きっと何かが流れていただろう。そしてその音楽を大切に感じていただろう。

 
音楽という表現に嫉妬したこともあったけれど、
最近は絵にしかできないことがあると薄々わかってきたので、
それももう無くなった。
残るはただ愛おしさだけだ。

この旅は気楽な帰り道

最近は息つく暇も無く、あっちへ行ったりこっちへ行ったりで、
おかげで先日はバスのチケットをとり間違え、名古屋から神戸まで在来線でトコトコ帰った。
 
市内から出発した電車。
30分も乗ると外はどんどん明かりが少なくなり、
気付けば満員だった車内は既にまばらになってきている。
もう30分乗れば、目を凝らしてもガラスに映った自分しか見えない程に闇は落ちて、
それに反して車内の明るさが妙に寒々しく目に映る。
随分懐かしいこの感じ。
 
幼少から高校までを過ごした埼玉の田舎。
池袋から乗って終点まで1時間と少し。
車窓に流れるゆっくりと深い夜のグラデーションは、
自分が思うよりずっと記憶の底に染み付いているみたいだ。
灯りに照らされぽっと浮かび上がった誰も降りないホームの愛おしさよ。
この感傷で、払ってしまったバス賃の元はとった気がする。
 
 
そんな風にして、6月もまた新しい町へ。
全国巡回中の『みずのこどもたち』原画展。
第十二箇所目は信州長野は松本にて、本・中川と栞日の2店鋪同時開催です。
 

 
『みずのこどもたち』原画展 / こどもたちよ どこへゆく @ 本・中川 & 栞日
会期は6/16〜7/1。店鋪のお休みはそれぞれ異なりますので、詳しくは上記リンクよりご確認下さい。
在廊日は検討中なので、また追ってお伝えします。
 
今展示は、昨年5月から始まった全国巡回『みずのこどもたち』原画展の言わばセミファイナルです。
次回8月を予定している大阪iTohenでのフィナーレは、また少し違った形の展示になる予定で、
『みずのこどもたち』原画展というタイトルはこれで一応最後になります。
長い間多くの人や場所にお世話になりました。
あと少し、どうぞよろしくお願いします。
 
松本はどんな町だろう。
あまり検索してはいけないよ。あまり準備してはいけないよ。
絵を描くだけ描いて、あとは体と一緒に持って行くだけ。
 
“ああ この旅は気楽な帰り道
野たれ死んだところで 本当のふるさと
ああ そうなのか そういうことなのか”

(ナビゲーターより)
 
絵の旅は楽しい。

blackbird booksは小さな本屋


 
先日の日曜日でblackbird booksで開催していた『はじまりが見える世界の神話』原画展が終わりました。
雨降りもありましたが、そんな中でもお越しいただいた皆様、本当にありがとうございました。
絵を見て、何かを持って帰っていただけたなら嬉しいです。
 
僕自身も絵が壁にかかった姿が見れて嬉しかった。
アトリエの汚れたイーゼルに乗っていたときに比べて、
白壁に飾られた彼らは幾分凛々しく見えた。
この、絵が自分の手を離れてゆく感じが好きだ。
絵が自分で呼吸をはじめる感じが好きだ。
呼吸の質は、当然まわりの空気にかかっている。
blackbird booksのおかげで絵は気分良くこの3週間を過ごせたに違いない。
 
blackbird booksは小さな本屋だ。
でも、狭い本屋ではない。
清潔な店内には穏やかな外光が入り、
古い本も新しい本も皆それぞれのやり方で前を見据え、
格好つけず、でも本であることに誇りを持ちながら、
じっと棚に収まっている。
 
ガラス戸の前を子供が風船を持って走り去る。
少し先で風船の割れる音と、泣き声が聞こえる。
 
もし泣き止むのが難しければ、悲しさが止まらなければ、
そのときはちょっと引き返してその扉を開ければいい。
そうしたら、そこには余計なことは聞かない静かな店主と、
君を励ますための言葉を持った本がたくさん並んでいるから。
どれを取ってもいいよ。
大丈夫、みんなあのお兄さんが選んだ本だから。
 
 
photo : Kano Chihiro

あれから2年と3ヶ月

6月の展示のお知らせ。
まだ大阪での原画展が開催中ですが、
『はじまりが見える世界の神話』原画展、来月は東京で開催です。
目白のブックギャラリーポポタムにて。会期は6/8(金)-6/17(日)。
6/9(土)には編著者の植朗子先生とのトークイベントもあります。
詳しくは画像のリンクより。
(DMデザインは本書の装丁を担当して下さったSu-の角谷さん)
 

 
2016年3月。まだ関西に移る前。
絵本の原画展を除けば人生2度目の個展『エロスとメビウス』を開催したのが同じくポポタム。
この個展で僕は初めて意識的に“神話”をテーマに扱った。
以前より、自分の絵を「神話のよう」と評する声は聞いていたけれど、
興味をもつ直接のきっかけは中沢新一の『人類最古の哲学 カイエ・ソバージュ(1) 』(講談社選書メチエ)を
読んだことだろう。
僕が絵でやろうとしていることが、
遥か昔より神話というかたちをとって存在していることを知り、ひとり震えた。
振り返れば当たり前過ぎる事実なのだけど、
それは本当に景色が変わるような出来事だった。
 
神話をテーマに個展をつくるということに関しては、
そのスケールの大きさに敵わずなし崩しのまま終わってしまったけれど、
当時の驚きがこうしてひとつの形になって再びポポタムでお披露目できることをとても嬉しく思う。
 
21点の全原画を展示します。販売用の描き下ろしも用意しています。
どうぞ見に来て下さい。

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