朗読会


 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
年末にblackbird booksで体験した柴田元幸さんの朗読が忘れられなくて
ふとしたときに思い出している。
 
レベッカ・ブラウンの『かつらの合っていない女』。
柴田さんの声が暖かい室内にさらに火をくべる。
伴奏するクラヴィコードの音はまるで別の時代から降ってくるもののようだ。
店の外を駆けて行く子供の声がくぐもって聞こえて、
何か薄い膜に包まれているような穏やかな気分になる。
 
文学や詩には喜びがあると思う。
驚くほど繊細で、説明なんて不可能だと思えるような感覚を共有できることの喜びだ。
こんなことを書いてくれる人がいる。しかも本として売られている。
出版されているということは、それに感じ入る読者が僕以外にも存在することを意味する。
それは何て勇気づけられることだろう。
 
この日はそれが目に見えるかたちとなって現れた。朗読会として。
多くの人が眼をつむり、耳を開き、同じ言葉からそれぞれの景色を描いていた。
僕はそれを見て、本の中の世界は本当にあるんだ、と思った。
 
帰りの電車で詩集を読んでみると、
先ほど聴いたばかりとは思えないほど読むのに苦労した。
訳者の言葉の力にただ驚いた。


 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
 

 
 
 
 

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